モアレた日記

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なんだこの自己満ブログ

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小説

テーマ「パスワード紛失」

十月は金秋十月、というらしい。中国にとっても、十月は快適な季節である。地域によっては十一月に入ると急激に寒くなるが、十月一日の国慶節前後は寒くもなく暑くもないいい気候が続く。だからまあ、ボーナスタイムみたいなもんなんだ、と彼は笑いながら説…

とある探偵話の歯磨

凛堂:探偵事務所経営の美人 陽一:ひょんなことから凛堂の助手になる。事務所に住まわせてもらっている(格安で)。 歯磨きってエロいなと思ってガッと書いて放置してたやつなので拙い 前回は剃刀ってエロいなの回です→とある探偵話の零葉 - モアレた日記 口…

リメイク『提出期限・8月31日』

「将来家を出たら、一家に一台君が欲しいな。」 なにそれって思った。けど、必要不可欠、な感じがしてすごく嬉しかった。それがこのあいまいでどろどろとした気持ちの始まりだったと思う。私は面白そうだねって答えたけど、この夏のずっと先の幸せな未来が一…

書き出し集

下書きに溜まってた書き出し集、小説だったり考察だったりラノベチックだったり 窓ガラスに這う雨粒を見つめながら、一彩は頬杖をついていた。濡れそぼった木々の間から、奥に並ぶ街頭の光が弱々しく漏れているのをじっと見つめる。授業中だというのに、集中…

手紙

お元気ですか。今、僕の居るところでは、今日から秋が始まるそうです。思えば頬を撫でる風が鋭く、冷たくなったように感じます。でもこんな日は夏の間にも数日あったような気がします。 ちょうど秋の境と呼べる日に、海へ出かけたことを思い出しました。熟れ…

とある探偵話の零葉

凛堂:探偵事務所経営の美人 陽一:ひょんなことから凛堂の助手になる 凛堂←陽一の無自覚片思い 殺すという行為に無自覚に興奮してる陽一の話 薄く伸びた襟足に刃をあて、切り落とす。この単純な作業は割と好きだ。それを分かってかは知らないが、凛堂は数ヶ月…

究極の選択

「親友か恋人、どちらを選ぶのか」ナレーターの声が館内に響いた。ありきたりな邦画の宣伝だ。深見と沢野は椅子に腰掛け、映画の始まりを待っていた。沢野は深い色の瞳をピクリとも動かさず、視線をスクリーンの前の空間に投げ出している。映画研究会。二人…

オニキス

呑まれそうな黒だった。彼の睛を見た時、思い出したのは、あのまんまるなオニキスだ。幼い頃、横浜の中華街に連れて行って貰ったことがある。白檀の香る狭い路地裏に、小さな雑貨屋が沢山あった。中でも、ザルに沢山の天然石を盛り、まるで魚市場のように並…

7.25のエッセイ

「夏休み特別貸出 10月某日まで最大15冊」小学生の頃、図書の時間に本を選ぶのが大好きだったのを覚えている。特に、夏休み前は良かった。一ヶ月後の期日は無限に届かない時間のように思えたから、ただ読みたいものをバッグにたくさん詰め込むことができた。…

提出期限:八月三十日

「将来家を出たら、一家に一台君が欲しいな。」なにそれって思った。けど、必要不可欠、な感じがしてすごく嬉しかった。それがこの気持ちの始まりだったと思う。面白そうだねって答えたけど、この夏のずっと先の幸せな未来が見えた気がした。駅のホームから…

テーマ「光」

「真面目、真面目と言われて育ったので、自分は真面目だと思っていた。言われた自分となりたい自分の間に挟まって、自己嫌悪に苦しむ夜もある。でもそれは、他人に合わせて満足の基準を上げ下げ出来るほど器用じゃないからだ。本当のところ、自分はきっと、…

テーマ「夏の終わり」

秋は曲者だ。 秋は、夏の影にすっぽりと身を隠してやって来る。だが、人々は夏の騒々しさに気を取られ、秋が支度を終えたことに気付かない。 秋は夏を待っている。 夏が死ぬのを待っている。 夏も終わりに差し掛かり、海に行こうという人は少なくなった。今…