モアレた日記

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なんだこの自己満ブログ

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7.25のエッセイ

「夏休み特別貸出 10月某日まで最大15冊」

小学生の頃、図書の時間に本を選ぶのが大好きだったのを覚えている。特に、夏休み前は良かった。一ヶ月後の期日は無限に届かない時間のように思えたから、ただ読みたいものをバッグにたくさん詰め込むことができた。薄汚れたエコバッグの重みは、クリスマスに買って貰った新しいゲーム機の重みによく似ていた。



大学図書館で沢山本を借りた。今は特別貸出で期日も冊数も大幅に増えている。伊坂幸太郎とか梨木香歩をエコバッグに詰め込んだ。長野まゆみも借りたかったけど、目ぼしいものがなかったから諦めた。こんなに沢山借りたのに、あと9冊も借りられるなんて、本に溺死させられそうだ。

床几に腰掛けてパラパラと本を眺める。自分の本の好みは全くバラバラだ。刑事とそのバディみたいな、シャーロックホームズみたいな話には目がないから思わず借りてしまうが。まあ有名な話であれば大体読む。だから、本の厚みも大きさもバラバラだ。でも「私が惹かれた」という点でどこか似通ってる気がする。


自分みたいだな、と思った。いや正確に言ったら違う。自分の周りみたいだな、と思った。自分を中心として、多様な人が私を取り囲んでいる。みんな好きなものも嫌いなものも全く違うけれど、その心の底には似通った、温かさがある。その温かさに惹かれたから、今の付き合いがある。


「マリアビートル」を開くと、中から栞が出てきた。どうやら、この本は二ヶ月前にも一度外に出ているようだ。見えない縁もあるな、と思いながら、私は図書館を出た。