お元気ですか。今、僕の居るところでは、今日から秋が始まるそうです。思えば頬を撫でる風が鋭く、冷たくなったように感じます。でもこんな日は夏の間にも数日あったような気がします。
ちょうど秋の境と呼べる日に、海へ出かけたことを思い出しました。熟れたマンゴーみたいに真っ赤な夕陽が、君の髪の後れ毛をキラキラと照らすその様は、僕の想像する秋のその色でした。寒いから、と濡れるのを嫌がるきみは、面白かった。じゃあなんで海だったんでしょうか。海に行こうなんて言うのはいつも決まってきみのほうだった。きっときみは、ぼくが言う「秋の境」を「夏の境」だと思っていたのでしょうね。
しかし、夏と秋の境目なんて、そうはっきりと分かるようなものなのでしょうか。やはり不思議に思います。
ぼくはいつのまにか大人になっていて、記憶の中のきみはいつまでも子どものままなのですから。