2023年そこそこ読みました
100冊読みたいとか言ってたのに全然届きませんでした。無理でしょ、というか2月と5月死んでたのかな。
12月ももう終わりなので今年読んだ中からベスト本紹介します。ジャンルも方向もバラバラですが、私が良いと思ったという点で共通している、いわば友人のような本たちです。
「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」「叶えてくれると思うで。何でも」
──家にも学校にも居場所が見つけられない小学生の慎一と春也は、ヤドカリを神様に見立てた願い事遊びを考え出す。100円欲しい、いじめっ子をこらしめるなどの他愛ない儀式は、いつしかより切実な願いへと変わり、子供たちのやり場のない「祈り」が周囲の大人に、そして彼ら自身に暗い刃を向ける……。鎌倉の風や潮のにおいまで感じさせる瑞々しい筆致で描かれ、少年たちのひと夏が切なく胸に迫る長篇小説。
ちょっとダークなジュブナイル・ドラマ。少年期にある不安とか、危うさとか、そういうアンバランスさが上手く描かれていて良かった。特に風景や空気の描写が上手い。今でもこの小説は潮の香りがするような気がする。オススメできるポイントは、やはり「感覚」。瑞々しさの端に潜む生々しさをぜひ味わってほしい!
SF×セカイ系ブロマンス!
近未来、日本。そこでは人びとの意識を取り出し、移転させる技術が発達、大病や大けがをした人間の意識を、一時的に「代体」と呼ばれる「器」に移し、日常生活に支障をきたさないようにすることがビジネスとなっていた。大手「代体」メーカー、タカサキメディカルに勤める八田は、最新鋭の「代体」を医療機関に売り込む営業マン。今日も病院を営業のためにまわっていた。そんな中、自身が担当した患者(代体)が行方不明になり、山の中で無残な姿で発見される。残される大きな謎と「代体」。そこから警察、法務省、内務省、医療メーカー、研究者……そして患者や医師の利権や悪意が絡む、壮大な陰謀が動き出す。意識はどこに宿るのか、肉体は本当に自分のものなのか、そもそも意識とは何なのか……「科学が倫理を押しつぶす世界」を描いた、「百年法」を凌駕するエンタテインメントがここに誕生!
登場人物にアニメのようなキャラクター性があり、読みやすいSF小説。特にラストの「セカイ系」描写はハマる人にはハマるはず。カヲシン好きな人は絶対好き。あなたは「代体」になりたい?
2度読み必須のシスターフッド!
あの夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像は--。
これがシスターフッドかどうかは意見が分かれそうですが、私はそうだと思います。一周目パラパラ読んで、二周目で気付いた時の衝撃は今も忘れられない。
「人間がしたことなら『人間らしい』と言えるのではないか」
17歳の少女が自ら警察に保護を求めてきた。その背景を探る刑事に鑑識から報告が入る。少女が生活していたマンションの浴室から、大量の血痕が見つかったのだった。やがて、同じ部屋で暮らしていた女も警察に保護される。2人は事情聴取に応じるが、その内容は食い違う。――圧倒的な描写力で描く事件は、小説でしか説明する術をもたない。単行本刊行時に大反響を呼んだ、著者の新しいステージを告げる問題作にして衝撃作がいよいよ文庫に!
読み終わった後吐き気・体調不良を感じた作品は初めてだ。六尺コピペよりエグい本文でどうか「人間らしさ」の深淵を覗いてみてください。
本書はまさに、「好奇心で死んでしまう猫」たちの物語である。
鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也(かけいまさや)に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和(はいむらやまと)からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」地域で人気のあるパン屋の元店主にして、自分のよき理解者であった大和に頼まれ、事件の再調査を始めた雅也。その人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也はなぜか大和に魅せられていき……一つ一つの選択が明らかにしていく残酷な真実とは。
『チェインドッグ』を改題・文庫化。
主人公を翻弄する殺人鬼・榛村がとても魅力的で良かった一冊。シリアルキラーとはなぜ魅惑的なのか。それはきっと恐怖と興奮が同時にあるからだ。あなたもきっと彼の掌で…
「ああそうか、俺だったのか」
深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒーだった。ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。その後何度か店で会ううちに、付き合うようになる。淡々とした日々が急に華やぎはじめ、未来のことも考え始めた矢先、美穂子にある告発文が届く。そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた――。何のことかと詰め寄る美穂子。深瀬には、人には隠していたある”闇”があった。それをついに明かさねばならない時が来てしまったのかと、懊悩する。
あの湊かなえのブロマンスですよ!もうこれだけで読む理由があると思います!クソデカ感情とイヤミスの読後感に溺れろ!!!!!!!
「感覚」×ミステリーのリアリティの二乗に溺れろ!
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
ミステリーのつくりもさることながら、やはり宮部先生の繊細な「感覚」描写は本当に刺さる!あらすじやタイトルだけで判断せず、ぜひ一読してほしい!多分止まらなくなるよ!
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以上でした!正直もっといっぱい良本ありました!今年は豊作だ〜
今年は直木賞を中心に読んでみました。あとは有名作家で好きなものとか、あとは女性作家かどうかはちょっと重視しました。この令和に、女性とか男性とかなんやかんや言ってるのもダサいのですが、やっぱり女性作家の方がなんか「当たり」が多い気がするのです。私は宮沢賢治みたいな、キラキラとした感覚の文章や、夢野久作のどろどろした感覚の文章が好きです。なので、そういう「感覚」の部分を求めると、やはり女性作家に行き着くのかなぁと思います。そういう繊細さを持っている人が多いような気がする。
来年は新刊や、作家買いもしつつ、図書館で過去の賞モノを読んでいきたいですね