モアレた日記

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【映画レビュー】100日間生きたワニを見たんだが

 

 

懲役60分

 

 

みなさんこんにちは、いい気分です。

 

いろいろな意味で話題の映画『100日間生きたワニ』を公開初日に見に行きました。これを観るにあたり原作を全て読み返しました

 

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もちろんネタバレ注意です

 

(アニメーションや作画クオリティについては原作やトレーラーでお察しなのであまり触れません)

 

あらすじ

桜が満開の3月、みんなで約束したお花見の場に、ワニの姿はない。
親友のネズミが心配してバイクで迎えに行く途中、満開の桜を撮影した写真を仲間たちに送るが、それを受け取ったワニのスマホは、画面が割れた状態で道に転がっていた。

 

 

 

まず、この映画はワニが死ぬまでの100日前と、ワニが死んで100日後の前後編で描かれます。

なので、感想や考察も前後編で分けたいと思います。

 

 

 

 

ワニが死ぬまでの100日間

 

100日前―――
入院中のネズミを見舞い、大好きな一発ギャグで笑わせるワニ。毎年みかんを送ってくれる母親との電話。バイト先のセンパイとの淡い恋。仲間と行くラーメン屋。大好きなゲーム、バスケ、映画…
ワニの毎日は平凡でありふれたものだった。

 

漫画原作の、ワニくんの日常が淡々と進んでいくシーンです。

 

ここでこの映画を楽しむにあたり重要なことがあります

 

キャラクターの声がイメージと違う

 

そこでネズミとワニ、その他キャラクターを美少年に置き換えて観ることを推奨します

 

①ネズミとワニ

 

(ここからはみなさんの脳内ではもう既に彼らが美少年に置き換わってることを前提します)

 

まずこの映画において重要な関係性、「ネズミくんとワニくん」です

彼らは映画でも、原作同様親友のような関係を築いているのですが

この空気感を評価する人間は確実に存在すると思います

 

だって

 

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良くね?

 

例えばハヤシコ先生の「アオベニの生活」

 

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この作品も前半は淡々とした日常が描かれて、後半は主人公が亡くなってからの日々を描く作品です(最高なので読んで)

 

とある作品で「人間は死ぬと固まるんだよ」という言葉があります

これは肉体的なことではなく、その人の人生は死んでから初めて認識され、変化しなくなるという意味なのですが、第四の壁の向こうにいる私たちは「死」を先に知ることが出来ます

 

「その毎日、思えば平凡。書けば文学」って言うじゃないですか

 

淡々と進む日常って意外と文学的で素敵なんですよ

 

 

 

 

 

①死というフレーズの扱い

 

もちろんこの作品のテーマは「死」なわけですが、時々刺さるように「死ぬ」という言葉が表現されています

 

例えば冒頭のネズミが怪我をするシーン(原作五日目)

 

 

映画では3コマ目と4コマ目のシーンに沈黙があるんですね

友達とふざけてたら目に手があたって「あっ…ごめん…」みたいな空気になるのと同じ体験ができます

 

 

 

後半

お花見から100日後――
桜の木には緑が茂り、あの時舞い落ちていた花びらは雨に変わっていた。
仲間たちはそれぞれワニとの思い出と向き合えず、お互いに連絡を取ることも減っていた。
そんな中、みんなの暮らす街に新たな出会いが訪れる。
引っ越ししてきたばかりで積極的なカエルに、ネズミたちは戸惑いを隠せず…

 

さてこの後半からウザいと評判のカエルくんが出てきます

でもでもでもでもちゃんと「ウザい」理由があるのがめちゃくちゃ良い

 

・穴と穴

 

センパイやネズミくん、モグラくんからは「ワニくん」という存在が無くなり、関係性に「穴」が空いてしまいます

 

そこで新キャラクターカエルくんの登場。彼は最近この街に越してきて、友人が誰もいない

 

彼はその「穴」に必死に入り込もうとしてきます(おそらくウザいと言われているのはこのあたり)

 

側から見ればカエルくんってめちゃくちゃ生き急ごうとしているようにみえるんですよ

例えば友達欲しさに、片っ端から飯誘ったりとか何かに追われてるみたいな

 

それはカエルくんの過去に理由があるんですね

 

 

バイク乗り

 

カエルくんはバイク乗りだったが「調子が悪い」から乗らなくなった

修理屋のバイトであるネズミに、バイクを持ち込んむ。ネズミもまたワニくんが死んでから、バイクに乗れなくなっていた。

 

カエルくんはかつてワニくんが働いていた店でバイトを始め、ネズミにもバイク乗りとして絡むようになった

 

しかしネズミはカエルの誘いにはあまり気が進まなかったり、彼を避けようとしたりした

 

ある日、バイト先でカエルは告白をし、見事撃沈

その後ネズミの元を訪れた。

「告白、ダメだったわ!笑」

 

気丈にふるまうカエルだったが、涙が溢れてしまう

「去年友達がさ」と言いかける

 

「カエルくんのバイク、見たんだけどさ 何も悪いとこなかったよ」

 

か〜〜〜〜〜〜〜

良くね?

 

ちなみにこのシーンでうるっと来た

マジで負けた

 

その後

 

ネズミとカエルはその後、仲良くなり欠けたワニくんの穴に、カエルは入ることになった

 

ラストシーン。この辺は個人的にはあまり…かな?と

 

カエルくんはワニくんではないので、その「代わり」として描写してしまうのは、「死の乗り越え方」としてどうなの?というのはあります

 

カエルくんもこの結末の為に登場させたとなると、まあう〜〜〜ん?とモヤるのとネズミくんがワニくんの行動を辿ったりしてたのもモヤる

 

見方によればサイコエンド、メリバっぽいけど演出で誤魔化してるので、それに乗っかれば楽しめるエンディングです

 

カエルがウザいというのはワザとそう演出してるのだと思います。

(自分の感受性が高いだけかもしれないけど)あのウザい行動は本心というよりも「焦り」にしか見えない

「早く輪に入らないと」「上手くやらなきゃ」そう焦って空回りする人ってウザいというより「見ていられない」「かわいそう」な人でしょう

 

そう思うと、ただウザいキャラとして扱って良いのか、考えちゃうんですよね

 

 

まとめ

Twitterで酷評されてる程ではないかな〜と思った(小並)

刺さる人には刺さる映画なんすよね。丁寧な説明やガイドラインが無いから、個人の解釈つまり今までの経験に委ねられている部分が大きい。
つまらなかったと言う人も正解だし面白かったという人も正解

酷評する人は100ワニがクソ映画だからではなくて、ただ単に肌に合わなかったのかなと
他人のこと気遣いすぎて体調崩しちゃうような そういう繊細な人向けだと思うんです

 

あと同人で同棲設定ってよくあるじゃないですか

あの空気感が楽しめる人は刺さると思います 

 

60分という長さも、予算からか(笑)とか馬鹿にしてたんですけど、めちゃくちゃまとまり良くて最善策じゃんってなった

 

なので配信されたらぜひ見てみてください