モアレた日記

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なんだこの自己満ブログ

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【コラム】泥のついた一万円札

北の国から」の泥のついた一万円札を思う。中学を卒業し上京する黒板純は知り合いのトラック運転手に東京まで乗せてほしいと頼む。出発後、運転手は「見てみろ、泥がついてるだろ」と一万円札を手渡した。「親父の手についていた泥だろう、大切に取っておけ——」
手に付いた泥を洗う暇もない、苦しい暮らしの中工面したのだろうか。堅実な五郎に、満腔の敬意を表したい。

 今月4月、某大学に進学することになった。1年間の「冬」を経ての入学だったから、自分も両親も喜びはひとしおだ。それと同時に、入学資料にあった「数字」にも驚いた。勉学というのは非常に高価だ。幸いにも、その「数字」は両親がなんとかできる分ではあったが、それは負担がないという意味ではない。「いくらでも応援はするけれど、それは保証ではないからね」というのは、父の言葉だ。


 その「数字」の裏には、泥がある。人の努力が自分の背に重くのしかかる。純も両親の愛情と愛情を向けられることの責任を感じただろう。「自由と責任は同じ重さ」という言葉がある。背の重さは責任の重さであると同時に、社会へ羽ばたくための自由の翼であると、希望を込めてそう思いたい。

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