小学生の頃、忘れ物や無くし物に異常な程恐怖心を抱いておりました。今はもうマシにはなりましたが、当時は学校に必要ないものまで持っていく程何かを無くしてしまうのが怖かったのです。
それでも人間ですから失敗の一つや二つはあります。その中の一つが、「バレンを失くしたこと」でした。
廊下から2列目の一番後ろの席で、大きな新聞紙を広げ半紙に「希望」という字を書く、それが課題でした。
希望か、望という字はあまり書きたくないなぁと呑気に考えていた私でしたが、習字セットを開いた瞬間、その二文字は自分の目の前から走り去り、ずっと向こうの山の陰に隠れてしまったような気持ちになりました。
バレンがない。
絶望でした。バレンがない。バレンが。
当時、厳しい持ち物チェックがあったことや完璧主義だった私はめちゃくちゃ恐怖しました
みなさんはバレンなんて何に使うんだ、とお考えになるかもしれませんが、私にとってアレは持ち物チェックを乗り切ることが出来る素晴らしい道具でした
ああ、センセイが来る。隠さねば、バレンのない習字道具を、欠点だらけの自分自身を
まあ結局、
バレンがないのはバレんかった(激ウマギャグ)
バレンなんて名前バレンタインデーが無かったら「忘れた」ままでした。
もう忘れ物に対する恐怖心を忘れなければならない程、沢山の大切な記憶が出来たのかもしれません。